ついに、FRBは9月の金利決定会合で金利引き下げサイクルを開始した。FOMCは連邦基金の金利目標区間を50ベーシスポイント引き下げ、4.75%から5.00%の水準に引き下げると発表した。前回のFRBの利下げは2020年3月で、今回の利下げは4年半ぶりを意味する。
大統領選挙日まで7週間しかない中、FRBがこのように「高調」に金利引き下げの幕を開けたことは、民主党のハリス候補が中産層家庭の福音だと称賛したのに対し、共和党のトランプ候補は、金利引き下げは政治的動機から来た可能性があると述べた。
このような「真っ向から対立している」というコメントも、経済と金利がどの程度急速に選挙戦の焦点になっているのか、両党ともこの動きを利用して選挙戦の地位を固めることを求めていることが明らかになった。
しかし、パウエルFRB議長は予想外にも米大統領選に関する問題を回避し、FRBの決定は米国国民へのサービスに基づいており、政治やその他のことについては決して決定しておらず、決定を行う際には他のフィルタリングを設置していないと述べた。
これまで彼が主張してきたように、FRBは「独立した機関」であり、政治的圧力が意思決定に影響を与えることはない。
鮮明なコントラスト
トランプ氏はマンハッタンのバーでの選挙運動で、FRBの動機が何であれ、今回の金利引き下げ（幅）は「非常に異例の数字」だと述べた。
「彼らが政治をいじっているだけでなく、そんなに金利を下げているなら、経済が非常に悪いことを示していると思います。いずれにしても、これは大きな金利の幅です」と彼は言った。
ハリス氏は声明で、この決定は「原油高の衝撃を受けた米国人にとって特に人気のあるニュースだ」と述べた。彼女の声明は、インフレが彼女の最大の政治的負担の一つであることを明らかにした。インフレは米国の家庭に深刻な打撃を与え、バイデン大統領の経済処理方式に対する有権者の見方に影響を与えた。
ハリス氏はまた、「多くの中産層やサラリーマン家庭にとって、価格は依然として高すぎることを知っている。大統領として、私の第一の任務は医療保健、住宅、食品雑貨などの日常的な需要のコストを下げることだ」と述べた。
「ドナルド・トランプ氏が大統領としてすることとは反対だ。億万長者や大手企業への減税を提案すると同時に、彼の計画は家庭依存の商品にガソリン、食品、衣料品などのトランプ税を課し、家庭の年間コストを4000ドル近く増加させる」と彼女は付け加えた。
バイデン現大統領は、インフレに対抗する「重要な時」を意味すると称賛した。彼はX上の声明で、「経済が好調を維持している中で、インフレ率と金利が低下しており、批判者はこれは起こり得ないと言っているが、私たちの政策はコストを下げ、雇用を創出している」と述べた。
金利引き下げのタイミングが議論を呼ぶ
しかし、トランプ氏の支持者は、11月の総選挙に近い時期にFRBが金利を下げる行動を取ったことを批判し、米国のヘッジファンドの億万長者でトランプ金主のジョン・ポールソン氏は、FRBは「大統領政治から遠ざかるべきだ」と述べた。
ポールソン氏は1994年にヘッジファンド会社Paulson&amp ;Co.、2020年には同ファンド会社がファミリーオフィスに転換。2008年の米国サブプライムローン危機で、ポールソン氏は約250億ドルの担保ローン証券を作り、顧客のために150億ドルの巨額の利益を得た。「ウォール街の空神」、「ヘッジファンドの第一人者」と呼ばれている。彼の成功の賭けは『史上最も偉大な取引』という本に記録されている。
また、ポールソン氏は共和党大統領候補トランプ氏の「スーパードナー」でもある。これに先立ち、トランプ氏が今年の選挙で勝利すれば、財務省長官にポールソン氏を招くとの情報筋が明らかにした。
ポールソン氏は、「伝統的にFRBは総選挙を控えて金利を下げたことがなく、今世紀唯一の金利を下げたのは2008年の金融危機後で、当時は重大な行動をとる必要があった。しかし、私たちの今日の立場は違う。この決定は、このタイミングがハリス副大統領の選挙を推進することを意図しているかどうかを選択する問題を回避した」と述べた。
「FRBは政治を凌駕していると主張しているが、今日の行動のタイミングはその説に疑問を抱かせる」と付け加えた。
これらの批判はトランプ氏自身のFRBへの猛烈な批判に呼応しており、これらの批判は大統領選に勝てば、FRBへの圧力を強めるのではないかという懸念を引き起こしている。トランプ氏は今年6月、今秋の利下げを政治介入とみなす可能性を示唆した。
「今は金利が非常に高く、彼らにとって難しい。彼らがやってみたいと思っているのは知っている。選挙の前に、11月5日までにそうするかもしれない。彼らがそうすべきではないことを知っていても」と彼は当時言った。
FRBの圧力
この元大統領はこれまでFRBが彼と対立していると非難していたが、2016年には民主党のヒラリー・クリントン（Hillary Clinton）とホワイトハウスに立候補していた間、低金利を維持していたと当時のジャネット・イエレンFRB議長を批判した。
また、トランプ氏はここ数週間、FRBの金利や金融政策の処理について大統領がより多くの発言権を持つべきだと述べた。これはFRBが長期にわたって政治から独立してきたやり方を覆すことになる。
数十年来、米大統領は伝統的にFRBの金利問題を公に批判することを避けてきたが、トランプ氏は大統領在任中からFRBを公に批判してきた。今年初めには、今年の総選挙に勝てば、パウエル氏をFRB議長に再び任命することはないと述べたこともある。
トランプ氏は金利決定でFRBに圧力をかけた唯一の「政治の大物」ではない。著名な民主党上院議員3人は、パウエル氏に今週0.75ポイントの金利引き下げを呼びかけた。
米下院予算委員会（House Budget Committee）の党首でペンシルベニア州のブレンダン・ボイル下院議員は水曜日、FRBの利下げ決定は中産層の勝利だと述べ、「インフレで大きな進展」と称賛した。